フィンランドの教育システム -幼児教育から就学前教育、総合教育、後期中等教育、高等教育まで-

フィンランド移住

近年、日本でもフィンランドの教育レベルが高いことが注目されてきました。

こういった教育レベルの高さは、教育理念、教育に対する基本的な考え方、それを支える教育システムなしでは成り立ちません。

今回は、フィンランドの教育システムについてご紹介します。

フィンランドの教育システムの全体像

フィンランドの教育システムには、

  • 幼児教育(0~5歳)
  • 就学前教育(6歳)
  • 総合教育(7~ 16歳くらい)
  • 後期中等教育(16~18歳くらい)
  • 高等教育(18歳くらい~)

があります。
成人教育は、成人を対象としたもので、総合教育から高等教育まで、さまざまな選択肢があります。

フィンランドの教育は平均して質が高く、学校ごとの学習成果の差が小さいのが特徴です。

ほぼすべての生徒が、目標期間内に総合学校を修了することができます。

また、就学前教育、総合教育、高等教育は全て無料、高等教育もほとんどが無料なのが特徴です。

教育費のほとんどは税金で賄っています。

家庭の収入にかかわらず、誰もが平等に質の高い教育を受ける機会を得て、積極的な市民として成長することを目標として掲げています。

その理念に国民が賛同し、みんなが協力して収入に応じて分担する。

まさに持続可能な、国家による富の再分配の理想です。

我が家がフィンランドに移住したいと決めたのも、まさにこの考え方の潔さからです。

マミー
マミー

どうせ高い税金を負担するなら、納得して払いたい!

幼児教育(Early childhood education)


フィンランドでは、子どもたちは就学前に幼児教育を受ける権利があります。

幼児教育の目的は、子どもたちの発達と幸福をサポートすることです。

例えば、社会性を学んだり、さまざまな情報に触れたり、これからより多くのことを学ぶためのスキルを身につけます。

幼児教育は、デイケアセンターや小規模保育で行われていますが、親と一緒に遊び場で幼児教育を受けることもできます。

子供は週に最低20時間、親が仕事や勉強をしている場合はそれ以上の時間、幼児教育を受けることができます。

幼児教育にはたくさんの遊びや屋外活動も含まれています。

子どもの母国語がフィンランド語やスウェーデン語でない場合は、フィンランド語やスウェーデン語を学ぶためのサポートが受けられます。
また、必要に応じて、特別支援教育(個別指導など)を受けることもできます。

フィンランドでは、地方自治体が幼児教育を実施しています。これは税金で賄われているため、3歳まで無料、3歳以降は家庭の収入によって金額が決まります。

自治体主催のほか、民間の幼児教育もあります。その場合、訓練を受けた幼児教育の教師とチャイルドナースが子供たちを担当します。

就学前教育(Preschool education)


フィンランドでは、子どもは義務教育が始まる前に1年間、就学前教育を受けなければなりません。

就学前教育は通常、子供が6歳になる年に始まります。

就学前教育の目的は、学校で役立つスキルを学ぶことです。

ガッツリした教育ではなく、どっちかというと、遊びから文字に慣れ親しむ程度です。文字の読み方は小学校にあがってから習います。

母国語がフィンランド語やスウェーデン語でない場合は、フィンランド語やスウェーデン語の学習をサポートします。

就学前教育は大学を卒業した早期教育の教師によって行われます。市町村単位で行われ、費用は無料です。

就学前教育は通常、月曜日から金曜日まで、1日4時間行われます。遊びや屋外活動も含まれます。

両親が仕事や勉強をしている場合には、これに加えて、幼児教育を受けることもできます。

総合教育(Comprehensive education)


フィンランドでは、総合教育は通常、子供が7歳になる年に始まります。

総合教育は義務教育であるため、フィンランドに在住の子供は、総合教育を受けなければなりません。

総合学校は日本でいえば小学校6年+中学校3年、計9年で、総合教育のシラバスをすべて終了したか、義務教育開始から10年が経過したときに終了します。

総合教育は法律で定められています。運営は市町村が行い、国のカリキュラムをベースに、地方独自のカリキュラムも使用されます。

費用は税金で賄われて無料です。

低学年では週に約20時間、高学年ではそれ以上の授業が行われています。

フィンランドの総合学校の教師は全員、修士号を持っています。

1~6年生を担当する総合学校のクラス担任は、教育学を専門としています。7~9年生の教師は、担当する科目の専門家です。

教師は、国や地域のカリキュラムに基づいて、自由に授業を計画することができます。

例えば、最近のカリキュラムでは複数の教科を組み合わせたもの、日常に近い現象を自分たちで調べるもの、情報通信技術などが重視されています。

子どもたちは最初の6年間、同じ教師に教わることが多いです。このようなシステムは、子どもたちのニーズに合った授業を展開することにも役立ちます。

総合教育の重要な目標のひとつは、子どもたちが自分で考え、自分の学習に責任を持つことを学ぶことです。

総合教育では、子どもたちの成績はすべて教師がつけます。国家試験のようなものはありません。

フィンランドに移住して間もない子どもは、総合教育を受けるための予備教育を受けることができます。
予備教育は1年間行われ、その後、第2言語としてフィンランド語またはスウェーデン語等の学習を続けることができます。

後期中等教育(Upper secondary education)


総合教育終了後は後期中等教育(日本の高校に相当)に進みます。

後期中等教育では、総合教育と同じ科目を学びますが、学習内容はより深く、独立したものになります。後期中等教育期間は通常2~4年かかり、終了時は卒業試験が行われます。

卒業後は、大学、応用科学大学、または職業教育を受けることができます。

ほとんどの後期中等教育はフィンランド語またはスウェーデン語で教育が行われています。
ヘルシンキのような大きな都市には、英語やフランス語などの他の言語で授業を行う所もあります。

フィンランド語やスウェーデン語以外の言語を母国語とする生徒で、語学力が後期中等教育学校での学習に必要なレベルに達していない場合は、後期中等教育学校予備教育(LUVA)に申し込むこともできます。

職業教育(Vocational education)

職業教育は、後期中等教育より実践的な内容になります。

職業資格の取得には約3年かかります。終了後も、職業資格や専門的な職業学位を取得するために勉強を続けることができます。
希望すれば、職業教育から高等教育へと進むこともできます。


語学力や学習能力が職業教育に十分でない場合は、予備職業教育(Preparatory vocational education)(VALMA)を申請することができます。

高等教育(Higher education)

後期中等教育を終えると、高等教育(日本の大学に相当)に進むことができます。フィンランドでは、大学および応用科学大学が高等教育を提供しています。

高等教育機関への入学は、無償または有償の場合があります。

EUまたはEEA加盟国の国民は高等教育を無料で受けることができます。

EUまたはEEA加盟国の国民でなく、かつ、英語で学士号または修士号を取得しようとする場合は、2017年以降から授業料がかかるようになりました。

授業料は大学、選考にもよりますが、年間12,000ユーロから18,000ユーロです。

応用科学大学(Universities of applied sciences)が提供する教育は、大学が提供する教育よりも実践的な内容となっています。
授業には実地学習も含まれ、学士号を取得するには、3.5~4.5年かかります。

修士号も取得したい場合は、まず同じ分野で3年間の実務経験を積む必要があります。

以上、フィンランドの教育システムについてまとめてみました。個々の教育機関については、おってご紹介します!

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