フィンランドの就学前教育
フィンランド在住のすべての適齢期児童は、総合教育が始まる1年前から、1年間の就学前教育を受けなければなりません。
就学前教育は6歳になる年に受け、7歳からは総合教育を受けることになります。
就学前教育は市町村が運営していて、すべての教育費は無料です。教育費に加えて、お昼ごはんも無料。
子供が遠方(プリスクールから5km以上)に住んでいたり、通学が困難な場合は、無料で送迎サービスを受けることもできます。素晴らしいですね!
プリスクールは一日約4時間です。両親が仕事や勉強でお迎えができない場合は、デイケアを頼むこともできます。
プリスクールはデイケアセンターや、総合教育機関(日本で言う小学校+中学校)と一緒なので、4時間終わったらそのまま敷地内で移動することになります。
フィンランドの教育理念は詰め込み教育とは正反対ですが、その理念はプリスクールでも見られます。
プリスクールでも見られるフィンランドの教育理念
プリスクールでは知識を習得するのではなく、遊びの中から、算数、環境、自然、芸術、文化などに慣れ親しみ、感受性を高めることを重視します。
プリスクールの先生は、子ども一人ひとりに合わせたカリキュラムを用意しますが、それには保護者の意見も取り入れます。
幼い子どもを連れて移住する場合、「子どもが言葉を話せなくて、つらい思いをするのではないか?」と心配しますよね。
でも、心配はいりません。フィンランドは、移民を受け入れるマインドが日本より遥かに開かれています。
市町村は移民(子ども)が一定数に到達した場合、学校でその国の言語を習得できるよう環境を整備する仕組みになっています。
子どもたちの母国語を学ぶ権利を確保する。自分の宗教や倫理についての教育を受ける権利を確保する。
私は、この考え方・取り組みこそが、フィンランドの真の強みではないかと考えています。
決して、移民に融合を強要しない。
かわりに、自分の母国語や、宗教・倫理を学べるように環境を整備してあげる。
それによって、親に連れて移民した子どもたちも、いずれは自分のアイデンティティを確立することができます。
それを目の当たりにして、フィンランド人の子どもたちも、世界は広く、色んな国の人がいて、いろんな文化があるんだということを理解し、自分と「異なる」ことになんの違和感も感じなくなる。
そして、社会全体としても、自然と「異文化」への理解、許容、包容をするようになる。
この考え方こそが、一つの国が今後繁栄するか、衰退するかを決める大きな要因ではないかと思います。
だから、フィンランドの就学前教育では、「子どもたちが自分の母国語や文化を大切にすることを学ぶ。また、他の人々の言語や文化を尊重することも学ぶ。」を大きな目標として掲げています。
融合ではなく、包容。支配ではなく、共存。
このような考え方が当たり前になれば、世界はきっと、より美しくなります。
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