フィンランドの職業教育
職業教育は、総合教育修了後に受けられる、後期中等教育と併存する教育システムです。
職業教育とはその名の通り、後期中等教育より実践的なもので、社会生活に必要なスキルを身につけることができます。
日本でいうと、中学校卒業後、高校(フィンランド後でいう後期中等教育)に進学するか、専門高校(フィンランドでいう職業教育)に進学するかの感覚です。
日本と違うのは、フィンランドでは、職業教育と後期中等教育を同時に受けることができます。また、費用は無料です。
職業教育で学べる分野
職業教育では、様々な分野について学ぶことができます。
- 教育
- 人文知識・芸術
- 社会科学
- ビジネスおよび管理
- 自然科学
- 工学
- 農業・林業
- 健康とウェルネス
職業教育は総合教育修了生と社会人を対象としており、修了後は高等教育に出願することもできます。
職業教育での学習
職業教育は、最初に個人の能力開発計画(HOKS)の作成から始まります。計画の中には、すでに持っているスキル、今後身につけたいスキル、それに必要なサポートを示します。
職業教育の学習はかなりフレキシブルで、自由度が高いです。個人の履歴、学習能力によって、マイペースに学習内容を配分することができます。
また学校に限らず、職場で実践しながら学んだり、オンラインで学ぶこともできます。学習内容に含まれるすべての資格を取ってもいいし、一部だけ取っても大丈夫。
ただし、自由度が高い分、徹底した自己管理が求められます。
職業教育への応募方法
職業教育を受けるには、総合教育修了か、それと同等の能力が必要です。
職業教育は社会人も対象にしているため、通年で申請が可能です。
学生の場合は、2月~3月に後期中等教育と同時に申し込むこともでき、便利です。
職業教育で取得できる資格
職業教育を通じて、職業資格または特殊職業資格を取得することができます。
職業資格取得には通常3年の学習が必要です。資格内容は学習した専攻によって違いますが、すべての資格に共通する必須科目もあります。
それは、コミュニケーションスキル、数学と自然科学、社会生活に必要なスキルなどです。
職業教育の予備教育
職業教育を受ける語学力が足りない、必要なスキルが足りない、あるいは自分が何を学びたいのか見極めたい場合は、職業教育の予備教育(VALMA)を受けることができます。
予備教育は通常1年間で、修了後は証明書が発行されます。予備教育を受けたことは、後の職業教育時にポイント加算されます。
おわりに
今回の記事では、フィンランドの職業教育についてまとめてみました。
日本企業は大卒を一括採用後、教育するのが一般的ですが、フィンランドでは学生にも即戦力を求める傾向があります。フィンランドと日本の考え方は一長一短ありますが、日本的な雇用制度が崩壊しつつあるのも事実であり、今後はより自律した学習が必要なのではないかと考えています。
技術の進化は社会にも個人にも、これまでない適応力とスピード感を求めます。
そういう意味で、フィンランドの職業教育は良いアプローチだと思います。
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